原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

極上のパーティ・タイムが始まりました！　結成45周年のジャズ・ファンク集団、インコグニートの5日間10セット公演が昨日、幕を開けたのです。4年ぶりの最新作『Into You』のナンバーを含むセットリストは、グループのオールタイム・ベストといいたくなるほど魅力的なもの。司令塔ブルーイのギター・プレイとMCは今回も冴えわたり、ファンキーでダンサブルなエンターテインメント・ショウが時間いっぱいまで繰り広げられていきます。

「私が世界の前途有望な若手を集め、紹介する。それもインコグニートの重要な点なんだ」とブルーイが語る通り、このグループは長い歴史の中でさまざまな若手を輩出してきました。今回、新たにファンを沸かせることになったのは、エズラ・コレクティヴやオスカー・ジェロームらとも交流するパーカッション奏者のリッチー・スウィート（他のユニットではドラマーとしても活動）。ドラムスのフランチェスコ・メンドリアやベースのフランシス・ヒルトンといった常連ミュージシャンと織りなすアンサンブルや掛け合いも観客から絶大な拍手や声援を引き出しました。22年の来日公演でもフィーチャーされていたキーボード奏者＆ヴォーカリストのキッコ・アロッタも大いに気を吐き、『Into You』収録曲「1993」で聴かせたシンセサイザー＋スキャットの華麗なユニゾンは、バンドのもうひとつの強みといっていいでしょう。やはり22年の来日からお目見えになったチャーリー・アレンも抜群のリード・ギタリストぶりを発揮、リズミカルに和音（コード）を奏でるブルーイのプレイと見事に息を合わせながら楽しませてくれます。

ヴォーカル陣は、チェリー・V、ナタリー・ダンカン、トニー・モムレルの3人。このところオール女性シンガーで構成されていた印象があるだけに、たくましい歌声を持つトニーの久々の帰還は新鮮でした。『Into You』からはまた、「Nothing Makes Me Feel Better」、「Keep Me In The Dark」、表題曲「Into You」も披露されましたが、なかでも、チェリーの恋の話にインスピレーションを受けてブルーイが作曲したという「Into You」は、チェリー本人の歌声の美しさもあって絶品の出来。今後、バンドの重要なレパートリーとして定着していきそうな予感がします。

ほか、管楽器陣のパワフルなソロもフィーチャーされた「Colibri」、インコグニートのメロウ・サイドを代表するブルーイのオリジナル曲「Still A Friend Of Mine」、グループの卓越したカヴァー/リアレンジ能力を示す「Always There」、「Don't You Worry 'bout a Thing」など、盛りあがりにつぐ盛り上がりでスタンディング・オベイションが沸き起こった初日ファースト・セット公演。9日のセカンド・セットまで、全ステージ、興奮と熱狂が渦巻くことでしょう。
(原田 2024 3.6)

Photo by Tsuneo Koga

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【LIVE INFORMATION】

INCOGNITO "INTO YOU" Japan Tour 2024
3.5 tue., 3.6 wed., 3.7 thu., 3.8 fri., 3.9 sat.　ブルーノート東京

3.10 sun.　高崎芸術劇場 / スタジオシアター

3.12 tue.　梅田クラブクアトロ